大切にしていた器や、思い出深い食器などを割ってしまっても捨てられず、しまい込んだままにしていることはありませんか?
あえて、そのまま思い出の品としてとっておくのも悪くはありませんが、器として再生する方法の1つに、日本の伝統的な技法「金継ぎ」があります。漆の接着剤としての性質を活かし、お気に入りの陶器や大切な骨董類の修理を行うものです。 |
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古くは室町時代から始まったとされる「金繕い」の技。単に割れた箇所を漆と金で継ぐだけではなく、繕いの傷跡までも「景色」と称して楽しむという発想が素敵ですね。欠けた器でも、金継ぎをしたものは、逆にその価値を上げたとさえ言われるものも多くあります。
物の豊かではない時代だからこその発想だったのでしょうが、「繕う」ことで更に新たな魅力をその器に宿して「再生」させ、「使い捨て」にはせずに、作った物を大切に扱う、心に寄り添う技法。「もったいない」をアートにまで高めた日本ならではの修理方法です。
この伝統的な技法は熟練の職人さんに受け継がれていますが、最近では「身近な器を自分の手で繕いたい」というリクエストにこたえて、あちこちに「金継ぎ教室」もできています。
便利な大量生産大量消費の時代だからこそ、その小さな作業に新鮮さを感じて、集中する時間をいとおしく思う人が増えてきたのかも知れません。元が大量生産された器であったとしても、繕い終えたものはまさしく世界で1つのものになるわけですからね。 |
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一口に「金継ぎ」といっても、その教室や先生によって教え方や技法は色々。
1つの器を1年ほどかけてじっくり修復する場合もあれば、複数の器を同時に繕うことのできる教室もあります。伝統的な技法のみを教えている先生や、金や漆の種類を初心者にも手軽に扱える合成のもので行なう教室、その両方を取り入れている教室など様々です。
いずれの方法にしても、欠けた器を直して使うことは、単純に物を再生するだけではなく、その器に対する想いや気持ちを蘇らせ、心を通わせるといった意味合いは同じです。
また、身近な器だけでなく、骨董市などで好みの欠けた器を見つけて、他の破片を継いで繕いなおし、生活に取り入れるといった楽しみ方もあります。素材も陶器に限らず、磁器、漆器、ガラスなどを繕うことができます。 |
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興味をもたれた方は、先生の雰囲気や料金のことなども比較検討するために、最初は体験教室に出向かれることをオススメします。
教室が近くにない方や、とにかく自分でやってみようと思う人には、金継ぎに関する入門書や、初心者用に自宅でできる「金継ぎセット」も販売されています。天然の漆を使うものが多いので、ウルシカブレだけには注意して、想い深い品を「金継ぎ」で繕ってみてはいかがですか。
◇文 : 高橋さわこ |
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