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自然と生活が密着した旧暦の基本単位である七十二候(しちじゅうにこう)。約5日ごとの季節の変化を、細やかに表現する七十二候が、東日本大震災以降、注目を集めているそうです。昨年2月の出版以来、20万部を超えたのが「日本の七十二候を楽しむ」(東邦出版)。候に関連する詩歌や行事、野菜や魚介の挿絵とともに紹介されています。
(引用 : 朝日新聞 2013.3.8 夕刊) |
みなさん、よくご存知の二十四節気は、太陽の位置が最も高くなる「夏至」と、低くなる「冬至」の間を分ける「秋分」「春分」の四つの日を基準に、1年を24等分したもの。約15日ごとに区切られた季節です。立春、大暑、白露、小寒などと名付けられた二十四節気は、今も比較的なじみ深いものですが、その二十四節季をさらに三等分した「七十二候」は、私たちの暮らには縁遠いものになりつつありました。
しかし先人たちが「二十四節気」では区分け方がおおまかすぎるとして、さらに三つに分け、おおよそ5日おきの季節に名前を与えた感覚は、季節感の薄れた現代の都市環境に暮らす私たちにとって、とても新鮮で、忘れかけていた大切なものを思い起こさせてくれるような響きがあります。 |
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「気候」という言葉を辞典で引いてみると
(1)ある地点または地域で、一年を周期として毎年決まった順序でくり返される、最も出現確率の高い大気の状態。ある土地の、長期間を平均してみた天気の状態。(2)時節。時機。
(引用 : 日本国語大辞典)
とありますが、この言葉はもともと二十四節気の「気」と七十二候の「候」が組み合わされた言葉だそうです。
最近は地球温暖化などを原因とする気候変動によって、日本においても、きめ細やかで滑らかな季節の移り変わりが失われつつあるようですが、それであればなおのこと、5日おきの季節感を、せめて言葉の上でも感じとりたいものですね。そうした感性が「エコ」を考え実践する、ひとつの支えになるかも知れません。 |
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例えば二十四節気の「穀雨」を3等分した2番目の「次候」(4月25日〜29日頃)は「霜止出苗(しもやみてなえいずる)」と名付けられています。寒い地域でも霜が降りることはなくなり、苗代で育てられる稲が成長を始める頃。その言葉を耳にするだけで、晩春のみずみずしく潤った情景が思い浮かびます。
「立夏」を3つに分けた3番目の「末候」(5月15日〜20日頃)」は「竹笋生(たけのこしょうず)」。一晩で一節も伸びると言われる筍の力強さが、夏に向かって生命力が横溢する様子を見事に物語っています。
そして、二十四節気「小暑」は、「初侯」(7月7日〜11日頃)の「温風至(あつかぜいたる)」、「次侯」(7月12日〜16日頃)の「蓮始開」(はすはじめひらく)、「末侯」(7月17日〜22日頃)の「鷹乃学習」(たかすなわちがくしゅうす)の三侯に等分されます。 |
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相次ぐ自然災害や異常気象が常態化したような現在の環境で、自然に寄り添って生きていた時代のひとびとが「よりどころ」とした言葉を再発見して、自然を見つめ、季節を感じる「目安」にしてみるのも、暮らしにちょっぴり豊かさと潤いを取り戻すことになるのではないでしょうか。
(資料参照 : 洋泉社MOOK「日本の旧暦と七十二候」) |
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